最近の政府や政界の動きについては、「ありがたいですし、それだけ被害が深刻だということ」と、川井弁護士は語る。

 なかでも感謝の言葉を口にしたのは、信者の親を持つ「2世」が声を上げたことに対してだった。

「2世の方たちが本当に勇気を出して声を上げてくださったことで、悲惨な実態が報道され、多くの人に届きました」

解散への困難な道のり

 1992年、芸能人らが参加した「合同結婚式」をマスコミが大きく取り上げて以来、旧統一教会問題が報道されることはほとんどなくなり、「失われた30年」といわれてきた。しかし、その間も旧統一教会による被害は繰り返されてきた。

 今、長年にわたり大きな被害をもたらしてきた旧統一教会を解散できないのは明らかにおかしい、という全国弁連の主張は多くの国民の間に浸透し、政府に対して厳しい視線が向けられている。

 一方、川井弁護士は法律のプロとして冷徹に今後の流れを予測する。

「仮に年内に質問権が行使されて、旧統一教会から回答があったとしても、それですぐに解散命令請求とはならないでしょう。今年度中にそこまでもっていくのは相当難しい。われわれも協力を求められたら、どんどん必要な資料を出していきたいという思いがあります。できるだけ短いやりとりで解散命令請求につなげられるような質問権を行使することがとても重要です」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)