世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の活動実態を調査するため、「質問権」の行使に向けた専門家会議が10月25日、文化庁で始まった。宗教法人の所轄庁は、解散命令の請求などの事由に該当する疑いがある場合、宗教法人審議会の意見を聞いたうえで宗教法人に対して質問ができる――これが「質問権」である。質問権の行使は旧統一教会への解散命令請求に向けた第一歩であるが、長年この問題に取り組んできた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の弁護士たちからは楽観するような声はまったく聞こえてこない。むしろ「時間的な余裕はない」と、焦りさえ感じる。全国弁連事務局長の川井康雄弁護士に聞いた。
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全国弁連の旧統一教会問題に対する訴えは、明快だ。
「長年にわたりこれほど経済的、精神的に被害を生じさせてきた団体に対して『解散できない』というのは明らかにおかしい」(9月16日、東京都内で開催した全国弁連集会で)
当然のことながら、全国弁連は解散命令の請求や質問権の行使を文化庁宗務課に再三にわたり求めてきた。
「しかし、解散命令請求はもちろん、質問権の行使も難しい、という反応でした」と、全国弁連事務局長の川井康雄弁護士は語る。
解散命令の要件について記した宗教法人法第81条1項には「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」とある。
それを根拠に全国弁連は、10月11日、文部科学相、法相などに対し、速やかに解散命令を裁判所に請求するよう、申入書を郵送した。
「これまで旧統一教会は正体を隠した伝道活動や、先祖の因縁などを用いて不安をあおった献金勧誘活動を行い、その違法性が認められた判決が各地の裁判所で積み重ねられてきました。その手口は全国的に共通していて、組織的に旧統一教会の指揮命令下で行われていることは明らかです。なので、われわれはすでに解散命令請求の要件を満たしていると考えています」
宗教界の大きな反発
また、川井弁護士は、
「解散命令請求は、基本的には宗務課が中心となって動くべきだと思っています。宗務課とわれわれが敵対することに意味はなく、むしろ協力関係でありたいという思いは今もあります」
と、口にする。