お笑いコンビ「和牛」の水田信二(左)と川西賢志郎
お笑いコンビ「和牛」の水田信二(左)と川西賢志郎
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 今秋の改編で、3年半レギュラーを務めた「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)を卒業した漫才コンビの和牛。唯一の全国ネット民放レギュラー番組を失ったことになり、関西以外では彼らを見る機会はグッと減りそうだ。

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「『ヒルナンデス!』では、誰かが卒業となると必ず新メンバーが発表される慣習があったのですが、和牛の卒業のタイミングでそれがなく、SNS上では『新メンバーがいないってことは、和牛はクビになったってこと?』と騒ぎになっていました」(テレビ情報誌の編集者)

 和牛はボケの水田信二(42)と川西賢志郎(38)が2006年に結成。M-1グランプリで頭角を現し、2015年からは5年連続決勝進出。うち、3年連続準優勝に輝くなど、「M-1の完成形」としてその名をとどろかせた。一時はテレビ番組やCMへの出演も劇的に増えたが、近年は露出もやや失速気味だった。今、彼らはお笑い界のどの位置にいるのか。放送作家はこう分析する。

「『ヒルナンデス!』卒業の真相はわかりませんが、今の和牛のテレビでの露出を考えると、この辺が潮時だと判断されたのでしょう。彼らは漫才師として年間500本の舞台に立つことを掲げており、テレビ向きの芸人ではないことは自認している。最近で言うと、M-1を制した銀シャリやミルクボーイもそうですが、『M-1を獲ったからこそより漫才に力を入れたい』と考える芸人は珍しくはない。一方、今のテレビのギャラはたいして高くないという事情もあると思います。吉本興業は劇場をたくさん持っていますし、週末は営業で引く手あまたですから、1本数万円の平場のバラエティーより、劇場で漫才の出番を固めたり、地方の営業で稼ぐほうが、事務所的にも本人的にも理にかなっているということではないか」

 以前は「M-1で決勝までいったらテレビスターになれる」という筋道があったが、今やテレビのお笑い界は飽和状態。ひな壇が得意な芸人ならまだしも、和牛はそうしたタイプではない。一方で、漫才に対する評価は今も高い。ボケの水田による“しゃべくり漫才”を進化させた“へりくつ漫才”は一世を風靡(ふうび)。M-1で3年連続準優勝に輝いたとき、あの松本人志も最終決戦で3年連続彼らに票を入れているのだ。

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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「テレビ露出を減らすのはもったいない」