Aさんが10代のころ、父はがんと診断された。すがったのは病院ではなく旧統一教会だった。何度も、旧統一教会の「聖地」とされる、韓国・清平での研修にお金をつぎ込んでいたという。

 Aさんが話す。

「父は清平に行くと『がんは悪霊が取りついているからです。お祈りして取りはらうことが大事。病院に行くと反対に悪霊がつく』などと言われて長く、韓国に滞在しました。がん治療などはまったくしない。それどころか、当時、建設中だった総工費300億円ともされる宮殿『天正宮』に通じる山道の整備に、労働力として駆り出され、石などを運ばされていました」

 その後、最悪の結末を迎えた。

「父はあっという間に、やせ細っていきました。教会は自宅に押しかけ、『信仰が足りない』と言いながら、もっと寄付を出せと迫り、父は帰国すると動けなくなって亡くなりました。平均寿命からすればかなり若い年齢です。取られた寄付は2億円以上あるはず。お金も命も教会に奪われたようなものです」

 Aさんはそう振り返る。

 幼いころから、父に教会に連れていかれたAさん。その父の死をきっかけにして教会から離れた。安倍晋三元首相の銃撃事件後、旧統一教会に対し、返金を求めているという。

商品の「価格一覧表」(「BIBLE series」から)

 Aさんの父と同じように“Sランク”だった高齢女性のBさん。息子と一緒に数々のペンダントなどを手に、

「これが『宴の時』で700万円、こちらが『真の家庭』とかいって、150万円くらいだったでしょうか……」

 とため息をつく。手にしていたのは、旧統一教会の霊感商法で買わされたものだ。

「真の家庭・祈り」の商品ページ(「BIBLE series」から)

 Bさんが記憶の限りで書き出した、旧統一教会への寄付や物品購入は、約10年間で約150回。額にして計1億7千万円余り。ペンダントだけでも1千万円を超える。教会からしてみれば「篤志家」だ。

 Bさんが、旧統一教会と接点を持ったのは2000年代はじめのこと。自宅近くを通りかかった信者に、庭に植えていた花をほめられたことだった。その後、信者は何度もBさん宅に通い、いつしか車で迎えに来ては旧統一教会の施設に連れていくようになる。そこは、安倍元首相を銃撃した事件の山上徹也容疑者の母が通ったていたのと同じ奈良県内の教会だった。

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