ただ、出雲4位の後、「万全の調整」をできたはずの全日本で駒澤大から3分58秒差の3位だったという結果をどう取るか。流れ的には2区で白石光星(2年)が区間16位とブレーキになったことが響いた形となったが、そこで生まれたタイム差(2分10秒)を差し引いても駒澤大には届かない。総合力の高さと箱根での巧者ぶりは誰もが認めるところだが、チーム力では駒澤大に完全な力負けとなった。4年生たちの力が大崩れすることはないだろうが、3年生以下のランナーたちが思うように伸びて来ていないのが気になるところ。ここからどう巻き返すのか。改めて原晋監督のチームマネジメントも鍵を握る。
課題を残した青山学院大を尻目に、出雲、全日本でともに2位でフィニッシュしたのが、國學院大だ。中西大翔(4年)、伊地知賢造(3年)、平林清澄(2年)、山本歩夢(2年)の「4本柱」が非常に強力で、さらに全日本ではルーキーの青木瑠郁(1年)が5区で「区間賞を狙っていました」と区間新に3秒に迫る快走を披露して大きな収穫を得た。過去2年間は殿地琢朗が担当した5区の山上りに誰を配置するのかが一つの鍵になるが、全日本1区で区間18位と出遅れた島崎慎愛(4年)の箱根路での挽回にも期待したいところ。前回の箱根4位から間違いなくチーム力はアップしており、来春の箱根でも「3位以内」を当たり前の目標に設定した中でスタートする。駒澤大、青山学院大にアクシデントがあった際には、一気に優勝を“かっさらう”可能性も秘めている。
4番手以下は混戦だ。出雲5位、全日本4位の順天堂大は、三浦龍司(3年)、伊豫田達弥(4年)、四釜峻佑(4年)と実力者が揃い、全日本では西澤侑真(4年)が6区で区間2位の走りを披露。前回の箱根でも2位でゴールテープを切っており、常に上位を争える安定した力を持っている。出雲6位、全日本5位と改めて力のあるところを証明した創価大は、嶋津雄大(4年)、フィリップ・ムルワ(4年)、葛西潤(4年)、新家裕太郎(4年)と最上級生が充実しており、下級生にラッキーボーイが出現すればさらに面白くなる。そして今春の箱根MVPで全日本でも6区で区間新と快走した吉居大和(3年)を擁する中央大は、出雲3位、全日本7位。全日本を欠場した“もう一人のエース”中野翔太(3年)が復活すれば、前回5区6位の阿部陽樹(2年)、同6区5位の若林陽大(4年)がいるだけに楽しみ。吉居駿恭(1年)、溜池一太(1年)のルーキーたちがさらに力を付ければ、箱根で「トップ5以上」を間違いなく狙える。