「昨日の発言の趣旨というのは、まさに根幹は法務省、日本の屋台骨を支える行政である。まさに国士としてその生きがいを持って、やっていかなければいけない。そこに外務省と共通の点がある。このことを強調したかった」

「ただ、その最初の導入ですね。まあ、マスコミの昼のニュースのトップに出ることが、今までは死刑の印鑑を押した、その日の昼のニュースのトップに出るというのがファクトとして、まぁそういうことです」

「地味に見られるかも分からないけれども、極めて大切な行政であるということを、全体としては申し上げたわけです」

「一部を切り取られたという形であっても、自分たちの仕事を軽んじているかのような印象を与えるような発言はやはり今後、非常に慎重にしていく」

 などと多くの言葉を並べて釈明した。

 そして「法相になってもお金は集まらない」という発言については回答を拒否した。

 当初、発言を「撤回しない」とした葉梨法相。それが、急きょ、参院の委員会では「撤回」となったのだ。

 自民党幹部が言う。

「死刑という極めてデリケートなことに加え、旧統一教会のことに触れて、最後は『法相はカネにならん』という内容でしょ。そりゃもうダメですよ。岸田首相も傷が浅いうちに交代させたんでしょう」

 ちなみに、葉梨法相になってから死刑の執行は行われていない。

「死刑はんこ」をあいさつの“つかみ”にした葉梨法相とは、いったいどんな経歴を歩んできた人物なのか。

 そのキャリアは“輝かしい”ものだ。東京大学法学部から警察庁の官僚となり、葉梨信行元衆院議員の長女と結婚。その後、政界に転出した。妻の祖父も衆院議員で世襲3世となる。

 義父の信行氏の後を継いで2003年の衆院選で初当選。09年の政権交代選挙では落選し、浪人の身となったが、再度復活し、現在が6期目。岸田派の所属で、今年8月の内閣改造ではじめて閣僚の座を射止めたのだ。

「岸田首相もなんとか自分の派閥から、と葉梨氏を引き上げたけれど、どのポストにするかと、かなり頭を悩ませていたようです。警察官僚上がりで気位が高く、上から目線で近寄りがたい雰囲気がある。ハマるポストが見当たらなかったんです。そこで、外にあまり出なくて、話す機会も少なくていいと法相になった。法相はとにかく、余計なことを話さないという立場ですからね。それが、よりによって、失言でその座を追われるとは皮肉なものです」(前出・自民党幹部)

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内閣改造は大失敗?