サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会は、いよいよ予選リーグ突破をかけた正念場を迎える。サポーターのボルテージも最高潮に、といきたいところだが、現地の宿泊施設に宿泊している人たちの気分はそうでもないらしい。というのも、ホテル不足を補うための宿泊施設がどうにもひどい状況にあるようだ。
カタールでは、4週間の大会中に同国を訪れるサポーターは100万人を超えると見込まれている。一方、既存のホテルなどの宿泊施設では、これだけの人数を収容することが不可能なため、同国は急きょ、「ファンビレッジ」をつくり、コンテナタイプの宿泊施設を準備した。
ところが、この施設が様々なトラブルに見舞われているという。
英大衆紙「ザ・サン」の報道などによると、まずは宿泊客のオーバーブッキング(過剰予約)が起きており、多くの人が到着してから何時間も部屋に入ることができなかったという。
また、バスルームの水漏れだったり、お湯が出なかったり、といったトラブルも。さらに、炎天下、エアコンが効かず、金属製のコンテナの中は「日中はサウナルームのように」なっているといった苦情も出ているようだ。
そして、この施設が1泊170ポンド(日本円で約2万8500円)という額に、予定していた試合を観戦せずにカタールを離れるサポーターの姿も。
ファンビレッジの宿泊施設に約1週間滞在するという日本人男性に話を聞くと、
「カタールというのは近代都市と思ってきたのに、ホテルも満足になく、仮設住宅のようなところで高い値段で泊まるとはビックリでした」
と話し、
「部屋は小さく、細長いベッドが二つあるだけ。トイレとシャワーがありますが、急に水があふれて水浸しになったのが2回。住めば都といいますが、さすがにここだけは……」
とせっかくのW杯に残念な様子だった。
ファンビレッジはいくつかつくられたといい、
「私がいるビレッジは、地下鉄の駅やショッピングモールなどが近くにあり、まだいい方らしい。ダメなビレッジだと、トイレまで共同だと聞きました。併設のレストランではビュッフェで一人2500円なので、たいていショッピングモールに買い出しに行っています。なかにはこのファンビレッジで予約済みなのに、オーバーブッキングでバスに乗せられて別のところに移動させられ、散々だったサポーターもいます。これだけ整備されていない国でワールドカップをやるのもどうなのかと思いますよ」(日本人男性)
これから盛り上がっていく大会だが、サポーターの気分が盛り下がっては元も子もない。
(AERA dot.編集部・今西憲之)