巨人・坂本勇人
巨人・坂本勇人
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 来季3年ぶりのリーグ優勝を目指す巨人が、変革期を迎えている。

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 原辰徳監督が今月23日に東京ドームで開催された「ジャイアンツ・ファンフェスタ 2022supported by DAZN」で、坂本勇人に代わり、岡本和真を新たな主将に任命したことを発表。副キャプテンは吉川尚輝、投手キャプテンは戸郷翔征が務めることも決まった。原監督は、「8年にわたってキャプテンを引き受けてチームをけん引してくれた坂本勇人を卒業させます。坂本勇人に拍手を送ってあげてください」とねぎらいの言葉を送った。

 坂本は2015年から6年間にわたって主将を務めた。自身が成績を残せばよいという立場ではない。チームが勝たなければ、責任を背負い込んでしまう。15年から4年連続V逸の時期は苦悩の様子が見られた。

 当時、巨人の番記者を務めていたスポーツ紙記者が振り返る。

「16年に打率.344をマークし、セリーグの遊撃で史上初の首位打者を獲得しましたが、自分の成績よりとにかく優勝したいと言っていました。広島で16~18年にリーグ3連覇を飾った中心選手の丸佳浩FA移籍で加入すると、広島の雰囲気などを聞いていた。野球の技術もそうですが、坂本は気になることがあれば後輩の選手や、他球団の選手にも積極的に聞きにいく。誰よりもハングリーだからこそ、球史に名を刻む選手に上り詰めた。19、20年とリーグ連覇を飾った時に、ホッとした上場を浮かべていたのが印象的だった。この時に次の主将へのバトンタッチを考えていたと思います」

 高卒2年目の08年から遊撃のレギュラーに定着し、日本を代表する選手として活躍してきた坂本は「衰え知らず」と言われていた。19年に生え抜きの右打者でシーズン最多の40本塁打をマーク。20年に31歳10カ月と史上2番目の速さで通算2000安打を達成した。

 史上2人目の通算3000安打も到達可能な数字と見られていたが、その道筋に陰りが見えている。昨年は「左内腹斜筋筋損傷」で開幕をファームで迎えるなど、故障で3度戦列を離れた。83試合出場で連続シーズン規定打席到達が14年連続でストップ。打率.286、5本塁打、33打点と不本意な成績に終わった。チームも4位で5年ぶりのBクラスに低迷。坂本が抜けた遊撃の穴が埋められず、苦しんだ。

 試合に出場すれば、高水準のパフォーマンスをみせる。150キロを超える速い球もきっちり捉えており、決して衰えが見えるわけではない。懸念されるのは遊撃の守備で体に大きな負担が掛かることだ。

「勤続疲労はなかなか抜けない。遊撃は年を重ねることで故障のリスクが高まるのは間違いありません。ただ、坂本は遊撃へのこだわりが強い。昨年もシーズン途中に一時的な措置で一塁へのコンバートを打診されたが断っている。来年も遊撃1本でシーズンを戦いますが、来月で34歳になりベテランの域になる。コンディションが整わなかったり、結果を残せなかったらスタメン落ちを覚悟していると思います」(民放テレビ局の関係者)

 選手寿命を考えれば、一塁や外野へのコンバートも考えられたが、坂本は遊撃が似合う。主将を岡本に託したが、攻守でチームの精神的支柱であることは変わらない。背番号「6」は再び輝きを取り戻せるか。(今川秀悟)