三浦のキャラクターが伝わってくるエピソードは他にも。彼女は大の読書家だそうで、よく読み返す本として灰谷健次郎や神林長平、江國香織の作品をあげていた(「SPICE」2020年5月27日配信)。一方、最近読んだ中で印象に残っているのは、サイモン・シンの『暗号解読』だといい、暗号の歴史や逸話が面白かったと語っている(「VOGUE」10月28日配信)。彼女の類まれな演技力には、こうした知識が土台にあるのかもしれない。
■「鎌倉殿」で見せた妾への嫉妬心
三浦は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に源義経(菅田将暉)の正妻役でも出演したが、これは「ドライブ・マイ・カー」を見た三谷幸喜がオファーしたという。さらにNHK連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」(2021~22年)では事前に茶道を学び、撮影に望んだのだとか。
「『カムカム~』では3代目ヒロイン・ひなた(川栄李奈)の幼なじみを演じていました。母が茶道の師範である役柄だったため、茶道を学ぶ必要があったのですが、『茶道とは、心を鍛える時間であり、哲学だと感じた』とインタビューで明かしています。『鎌倉殿~』の正妻役も、義経への愛を貫く様子や、妾に対する嫉妬心などをうまく表現していたと思います。大河ドラマの演技は、SNS上で『女の覚悟の演技すごい』『豊かな感性と表現力にうなるばかり』と視聴者から絶賛されていました」(前出)
ドラマウオッチャーの中村裕一氏は、三浦の魅力についてこう分析する。
「女優としてだけでなく、歌手としても重用されているところに、彼女の類まれなる表現力と非凡な才能を感じます。2018年公開の柄本佑主演映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』では、柄本演じる主人公の愛人役としてインパクトのある演技を披露しました。『エルピス』でも、物語の起点となる重要な役どころを、狂気すら垣間見える迫真の演技で表現し、視聴者をくぎづけにしています。理科大卒のインテリである一方で、シンガーらしくインスピレーション重視の一面もありますが、決して不安定ではない。一見、相反する個性を自身の中で両立させている。その力強さに、人は惹きつけられるのではないでしょうか。そんな彼女の魅力が、もっと多くの人たちに伝わることに期待したいですね」
来年は映画「山女」、「とべない風船」と2本の映画公開も予定されている三浦。底知れぬ魅力で、2023年の芸能界でキーとなる女優の一人になりそうだ。(高梨歩)