野手で可能性を感じるのがヤクルトを自由契約となったキブレハンだ。2017年にはMLBのレッズで115試合に出場して9本塁打を放っている右の強打者で、今シーズン開幕後の4月にヤクルトと契約。故障で長期離脱していたサンタナの代役として期待されたが、29試合の出場で6本塁打、打率.241という成績に終わり、シーズン終了後に退団が発表された。
確かにシーズンの数字だけを見ると物足りないが、8月27日のDeNA戦では1試合で3ホームランを放っているように、ハマった時の長打力は目を見張るものがある。また二軍でも30試合の出場ながら打率.326と好成績を残しているのも好材料だ。強打者タイプの外国人が欲しい球団が獲得に動くことも十分に考えられるだろう。
実績のある野手として名前が挙がるのはロッテを退団する見込みと見られているレアードだ。2015年に日本ハムに入団すると、2年目には39本塁打でホームラン王を獲得するなど中軸として活躍。2019年にロッテ移籍後も貴重な長距離砲として度々チームの勝利に貢献した。
今年はなかなか調子が上がらず、故障で長期離脱した2020年を除いて来日後最低の成績に終わったものの、それでも15本塁打を放つなど長打力は健在だ。来年で36歳となる年齢とコンディション面は不安要素だが、体調さえ問題なければまだまだ30本近いホームランも期待できるはずだ。基本的な年俸を抑えて出来高を手厚くする契約などが可能なら、獲得を検討する余地はありそうだ。
今年はロメロ(ロッテ)が先発として活躍し、オフには中日がかつてプレーしていたアルモンテを再度獲得するなど、日本でのプレー経験がある選手を見直そうという雰囲気があることも確かだ。それだけにここで挙げた以外にも他球団でブレイクする選手が出てくることを期待したい。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。