――それでも、世の中の多くの人が今までの思考法から脱却し、この「独立思考」を身につけるには時間がかかりそうです。

 あ、逆にお聞きしますが、なぜ、「時間がかかる」と思いますか?

――えーと……、改めて聞かれると、ちゃんと答えられないですね。

 すみません、問い詰めるつもりはないんです(笑)。でも、その「時間がかかる」というのは「思い込み」かもしれません。幸いにもこの本をきっかけにして、柔軟に新たな思考法を身につける人は意外と多いかもしれない。

 無意識のうちに受け入れていることや「こうだろう」と思い込んでいることの中にも、データを見てみる、あるいは現場に行ってみると、実はそうでなかった、ということが往々にしてあるんです。特にビジネスにおいて施策を実行する立場になると「そうであってほしい」っていう願望が認知バイアスとなり、余計に真実が見えにくくなります。

 まずは、自分がこれまで培ってきた考え方すらも「疑う」。それが、独立思考を身につけるための第一歩です。

(構成/堀尾大悟)

山本大平
戦略コンサルタント/事業プロデューサー
F6 Design株式会社 代表取締役
2004年トヨタ自動車に入社。長らく新型車の開発業務に携わる。トヨタグループのデータ解析の大会で優勝経験を持つほか、副社長表彰、常務役員表彰を受賞。在籍時には推計約300億円の原価改善を達成。
その後TBSへ転職。日曜劇場、SASUKE、レコード大賞など、主に看板番組のプロモーション及びマーケティング戦略に従事。さらにアクセンチュアでのマネージャーの経験などを経て、経営コンサルティング会社F6 Design社を創業。
これまでにアコーディア・ゴルフ執行役員CMO、DMM.make AKIBA戦略顧問、BNGパートナーズCMO、SCENTMATIC株式会社 戦略顧問など、大手からベンチャーまで数多くの企業の要職を歴任/兼任中。
2021年に刊行された初著書『トヨタの会議は30分』(すばる舎)は10万部を突破。
趣味はアウトドア、野球。
大阪府出身、京大院卒。

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