山本大平著『独立思考』(朝日新聞出版)※Amazonで本の詳細を見る
山本大平著『独立思考』(朝日新聞出版)
※Amazonで本の詳細を見る

――不確実な世の中を「サバイブ」するために「独立思考」が必要なんですね。

 同時に、企業の視点で言うと、「独立思考」は企業の「サバイブ能力」を高めることにもつながると考えています。
組織マネジメントにおいて、社員に事細かに指示を出す「マイクロマネジメント」は経営のコスト効率を低下させます。会社から何を期待されているかを理解し、自分の頭で考え、アクションを起こせる社員が増えれば増えるほどコスト効率は高まり、成果につながりやすくなります。

 人口減少や円安問題など、日本経済をとりまくマクロな問題は、個々の企業には対処できません。しかし、社員一人ひとりの「独立思考」を高め、組織のボトムアップを図ることは、個々の企業にもできること。本書には、そこにアプローチするねらいもあります。ありがたいことに経営者の方から「うちの社員全員に読ませたい」とのレビューも頂いています。

■「疑う」とは「他にもっとよい方法はないか考える」こと

――「独立思考」の意味と、それが求められている背景がよくわかりました。

 この『独立思考』では、私自身が企業に勤めていたときも、起業してからも、一貫して大切にしてきた「自分の頭で考え、行動する」ためのポイントを一冊に凝縮して紹介しています。思考の心構えから思考法の順番、アプローチの仕方、さらにはコミュニケーションの手法までを網羅しています。

――アイデアの思考法や問題解決の手法の前に、「一次情報をつかむ」といった情報の見かたを紹介していますね。

 そうなんです。というのは、会社や世の中で「問題」とされていること自体が、そもそも「解くべき問題」とは限らないからです。

 ウェブ上にあふれる情報や世間の思い込みにとらわれずに現象を観察してみると、「あれ? こっちの問題のほうが解決したら喜ばれるかもしれない」「みんなが気づいていない、この問題を解いていけば、もっと会社に大きな貢献ができるのでは?」といったことが見えてきます。みんなが「これが問題だ」と信じていることの前提すら「疑う」ことで、物事の本質が見えてくるんです。

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「これが問題だ」と思っていることの前提を、まずは疑う