陛下の父親ぶりを垣間見た気がしたのは、「TBS NEWS DIG」の記事(22年12月4日配信)を目にした時だ。[独自]と特記した上で、西行の特別展鑑賞についてこう伝えていた。「関係者によりますと、当初、愛子さまが一人でこの特別展を鑑賞される予定でしたが、陛下も同行されたということです」。娘の向上心をうれしく思い、つい一緒に出かけてしまうーーそんな姿が想像できたのだ。
女性皇族は「天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と皇室典範に定められている。だから愛子さまはいずれ、皇室の外に出る。その一方で「女性宮家」については国会での審議が待たれていて、仮に創設されれば愛子さまがその対象になることは間違いない。そのようにどっちつかずな立場に置かれている愛子さまが、ひとりの親としてはさぞや不憫だろう。だが愛子さまは健気にも、皇室の近現代史への興味を示している。陛下はさぞやうれしかったに違いない。そう思うと、翌日の「予定外の同行」が一層ほほ笑ましく感じられるのだ。
ここから秋篠宮家の父と娘に目を転ずる。11月30日、57歳の誕生日に合わせての記者会見で、秋篠宮さまは長女の小室眞子さんの近況について尋ねられた。夫の圭さんが10月にニューヨーク州の司法試験に合格したことを受け、加地隆治皇嗣職大夫が「(ご夫妻が)お喜びであるというご様子とお見受けしています」と語った。だから喜びの言葉があっても不思議はなかったが、秋篠宮さまはこう述べた。
<長女のことですけれども、これは本人が近況などについての自分のことについては話をするのは控えてほしいということを申しているようですので、私もここではお話を控えることにいたします>
会見で秋篠宮さまは「皇室の情報発信」について、正確でタイムリーであることが必要と言及していた。そうであれば眞子さんの生活についても発信すべきではないか。そんな識者のコメントを紹介するメディアもあった。
が、そういう話より前に、この言葉を秋篠宮さまと眞子さんの関係がよくない証拠かのように扱うメディアが多かった。「控えてほしいということを申しているようですので」と婉曲的な表現を秋篠宮さまは使った。他人について「~なようだ」と表現するのは珍しい話法ではない。だが、何につけ良くない方向で読み解かれる。それが今の秋篠宮家だ。
秋篠宮さまと眞子さんの関係がスムーズではなかったことは、ジャーナリストの江森敬治氏の著書『秋篠宮』からも伝わってくる。秋篠宮さまとの37回に及ぶ面会から、眞子さんの結婚までの過程を丁寧に追った本書で、「夏が過ぎ、秋となった。眞子内親王は、父親と結婚問題について話し合うことはなかった」というくだりがある。