中学受験は「親の受験ではない」と心得、のめり込みすぎないことも大切だ。写真はイメージ(PIXTA)
中学受験は「親の受験ではない」と心得、のめり込みすぎないことも大切だ。写真はイメージ(PIXTA)
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年々過熱する中学受験において、子どもの受験勉強に積極的に関与する父親が増えつつある。育児に積極的な父親が増えるなかで、受験でもわが子をサポートしてあげたいと父親が考えるようになったのも当然の流れかもしれない。その一方で、父親が自身の受験の成功体験を押し付けたり、会社での仕事のやり方を受験勉強に適用させたりすることで、疲弊してしまう子どもがいるという話も多い。そこで、AERA dot.ではさまざまな「中学受験パパ」のケースを取材し、子どもとの最適な関わり方を探った。短期集中連載の第3回は、2人の兄妹との中学受験体験を書いたブログがヒットし著書「偏差値に効く究極サポート10の実践」も出版したゆずぱさんが登場。中学受験パパが覚えておくべき“心得”を聞いた。

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「自分も中学受験をしてみようかな」

 ゆずぱさん(仮名)の息子が、そんな言葉をかけてきたのは、小学校4年の頃だった。

 当時、通っていたのは私立の小学校。小学校受験もしたが、友人たちも中学受験に挑む子が多く、「みんなやっているから」がその理由だった。

 自身も妻も、公立の中学、高校と進んでいたため、中学受験の経験はない。

「文字通り、右も左もわからない状態からのスタート。どんな塾があるのか、カリキュラムはどうなっているのか。まずは徹底的に調査をしようと決め、僕自身が受験勉強について学ぶことから始めました」

 小3から入塾し、二度の転塾を経て、大手進学塾へとたどり着いた。大切にしたのは、通いやすさと子どもの性格に合っているかどうか。塾の雰囲気が子どもに合わないと感じれば、無理に通わせることはしなかった。

 当時、大きなプロジェクトの責任者を務めていたため、帰宅時間は遅く、平日の夜に勉強をみることは難しいと感じていた。妻もフルタイムなうえ、夜勤もある。

「次第に、サポートするにしても仕組み化が必要だ、と気づきました。仕組みづくりをするうえで基準にしたのは、『子ども一人でできること』と『親と一緒でなければできないこと』をきっちり分けるということ。自律的行動につながるような仕組みづくりこそ、親ができることだと考えました」

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スケジュールは「子どもと決める」ことが大事