もう一つの間違いが、ハトムギ化粧品を塗ると首のイボが消えるというものです。ハトムギの成分であるヨクイニンは皮膚科でも使います。治りの悪い手や足のイボに使うことがありますが、首のイボに使うことはほとんどありません。というのも、手足のイボと首のイボは同じイボでも違うものだからです。
一般的に手足にできるイボはウイルスが原因です。このウイルスに効果があるのがヨクイニンです。一方、首にできるイボはウイルスが原因ではなく、加齢や摩擦、紫外線が原因になります。そういったイボに対してハトムギの成分であるヨクイニンが効くという質の高いエビデンスはありません。
ステロイドを塗ると肌が黒くなるというのも間違いです。ステロイドの塗り薬に肌を黒くする作用はありません。
では、どうしてステロイドを塗ると肌が黒くなるという間違いが広まったかと言うと、それは肌の炎症のメカニズムに原因があります。肌は炎症が起きると色素沈着が起きます。言い換えると、湿疹が起きた後は、肌に黒ずみが起きます。ステロイドを塗るときは、だいたい肌に湿疹が起きていますので、炎症後の色素沈着を間違えてステロイドを塗ったせいであると判断してしまうことがあります。これが間違いの原因です。今の季節に起きやすい乾燥による湿疹も、はやめにステロイドを塗って湿疹を抑え、黒ずみが出ないようにしましょう。
今回は、肌にまつわる間違いを三つ紹介しました。正しい知識を身につけて健やかな肌を保ってほしいと思います。