「コラーゲンを食べると肌がプルプルになる」と聞いたことがある人も多いでしょう。コラーゲンは皮膚の3層構造の真ん中「真皮」の骨組みを担当しているため、コラーゲンが減少した肌は弾力を失います。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師は、「コラーゲンを食べたとしても、そのまま皮膚のコラーゲンになることはありません」と話します。

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 肌に関する誤解やデマは多数存在します。例えば、頭を洗うときにリンス(コンディショナー)を使うとハゲる、というのは古くからあるデマです。他にも、皮膚呼吸ができないと命に関わる、というのも間違いで、人間の体は99%肺呼吸に依存しているため、皮膚呼吸ができなくて死ぬことはありません。経皮毒と呼ばれるデマもあり、シャンプーなどに含まれる化学物質が体にたまって不妊の原因になるというものもあります。

 今回は、その中からいくつか肌にまつわる間違いを紹介し、解説したいと思います。

※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 いまだに多く見られるのが、コラーゲンを食べると肌がプルプルになるという間違いです。皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層構造になっています。かまぼこを思い浮かべてもらうと想像しやすいのですが、外側のピンクの部分が表皮、中身の白い部分が真皮、かまぼこ板の部分が皮下組織という具合です。

 コラーゲンはこの中でかまぼこの白い部分、つまり真皮を構成する重要な成分です。真皮の骨組みを担当しているため、コラーゲンが減少した肌は弾力を失います。コラーゲンは20歳をピークに年齢とともに1%ずつ減少していくと言われています。

 そのため、減ったコラーゲンを食べ物で補おうと考えるわけですが、人間の体はそう簡単ではありません。コラーゲンを食べたとしても、体で消化されてしまいます。コラーゲンは分解され、アミノ酸に変わるので、そのまま皮膚のコラーゲンになることはありません。

 私たち皮膚科医がよく話す例えで、髪の毛を食べたら髪の毛が増えるわけではない、というのと同じ理屈ですね。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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