床にも血がついたので、キャリーの蓋をすぐに閉めて、そのまま動物病院に連れていきました。すると、左右とも肉球4カ所が切れていて、先生は「猫よけの突起物を踏んだのかも」と。念のため血液検査をしてもらうと、猫エイズが擬陽性でした。
痩せていて去勢手術もされていないし、「飼われていた猫が、迷ったか捨てられたかで野良になったのだろう……どうしますか?(飼いますか?)」と先生に聞かれました。
頼るように家に入ってきた、だから迎えたい……。そこで、肉球の治療をし、免疫を上げる注射を打ち、通院しながら室内のケージで過ごしてもらうことにしたのです。肝臓の数値が悪くて麻酔は打てなかったので、去勢手術は肝臓の治療後にすることにしました。
ウイスキーとシャンパンは、チャトランを窓から見ていたせいか、家(のケージ)に入れても驚きませんでした。チャトランはしばらく免疫アップの注射を続け、猫エイズが陰性となった後、ついに、直接のご対面となりました。
■ウイスキーを「女の子」と思い続けていた?
ケージから出たチャトランは、こたつで寝ていたウイスキーに寄り添いました。ぐいぐい行くわけでなく静かに。ウイスキーも自然に受け入れ、日に日に仲の良さが増します。
あまりに仲良しなので、「兄弟でないオス同士がべったりするものですか?」と獣医の先生に聞いたら「お互いの性格が優しく、年齢が近く、相性があったからでしょう」とのこと。
でも私の中には、その時に“ある疑い”が残っていました。チャトランがウイスキーを異性(女の子)と勘違いして好きなのではないか、と。
チャトランの去勢は、肝臓の数値がよくなった翌2月に終えたのですが、じつは未去勢の時に、ウイスキーに一度マウンティングをしかけたのです。リアル女子のシャンパンに対しては一度もしなかったので、狙ってますよね。
このことも先生に聞いてみると、「ウイスキーを女の子として見初め、部屋でもしばらくそう思っていたかもしれない」と頷きました。やっぱり!という感じです。
それでもどこかのタイミングで、チャトランは「違うな」と気づいたのか、さらに自分も去勢を施された身となってからは、恋が友情へと変わったよう。