飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。埼玉県在住のゆかりさん(64歳)は3匹の猫と暮らしています。うち1匹は元野良のオスの茶トラ猫で、庭に訪れてはゆかりさん宅の美猫に熱い視線を送っていたのですが、あることを機に家猫となります。“憧れの相手”と同居を果たした茶トラですが、意外な事実が待ち受けて……。後編は、猫の恋と友情のお話です。
【写真】超美猫ウイスキーに熱い視線をおくるチャトラン(提供)
【前編:「私の不注意で……」大けがを乗り越えたわが家のイケメン猫 変わらず甘えてくれる姿に救われた】より続く
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うちには「ウイスキー」と「シャンパン」と「チャトラン」という猫がいます。ウイスキーとシャンパンは保護猫カフェから迎えた兄妹で、チャトランはウイスキーを気に入って、わが家の庭に頻繁に通うようになった元野良猫です。
ウイスキーは親バカながら超美猫なので、一目惚れされても不思議ではありません。とはいえ(去勢はしていますが)男の子です。でもあれは、どう考えても “恋”でした(笑)。
チャトランが庭に初めて来たのは、2018年10月。年は1歳未満くらい。当時、ご近所の中には飼い猫を表に自由に出す方もいたので、「どこかの家の子かな」と思いました。首輪はないけど、とても人懐こい。外猫用に置いていたごはんをよく食べる。
チャトランという愛称をつけて、行動を見ていたら、視線の先にウイスキーがいることに気づきました。ウイスキーが居間にいれば庭先からじーっ、ウイスキーが隣の和室に移れば自分も移動して縁台からじーっ。
「チャトラン、恋煩いだよね」と、娘も言っていました。ウイスキーのほうは、「また来たんだね」とのんびり窓から外を見ていましたが。チャトランのまなざしは熱くなる一方です。
そこまで焦がれているなら中に入れてあげたい気もしましたが、飼い猫かもという迷いもあったので様子を見ました。でも2カ月後くらいに、チャトランに異変が起きたのです。
寒くなってきた12月。庭の掃き出しのところに血の跡が見えたので、あら?と思って少し窓を開けたら、チャトランが姿勢を低くして室内に入ってきたんです。そして、ピアノの下に置いてあったキャリーバッグにスッと入りこみました。