写真はイメージ(Gettyimages)
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■医療器具を使って腟を拡張し、挿入の練習

 では、未完成婚の相談で訪れた彼女たちに、医療機関ではどのような治療が行われるのだろうか。

 婦人科外来で未完成婚の相談に応じてくれるドクターたちにはそれぞれにメソッドがあり、腟を拡張させる行動療法や、心理的な不安を和らげる精神療法などでアプローチすることが多いようだ。中には夫婦2人で通院できる医療機関もあるが、いけした女性クリニックでは女性のみの受診に対応している。

「処女と童貞のカップルの場合は、問診でじっくりと彼女たちの話を聞いた後、『このままでは先に進めないから、女性側がリードしてあげるしかないよね』と伝えています。そして、私の診療室では『ダイレーター』という医療器具を使って、腟を拡張させるとともに、挿入のしかたを練習するトレーニングを行っているんです」(池下先生)

 近年、「フェムテック」といって、テクノロジーを生かした<腟まわりのお手入れ>や<腟トレ>がブームとなっており、すでにダイレーターをネットで購入したという相談者も少なくない。医療機関でセックスに関する悩みの相談をしたり、腟のトレーニングを受ける治療は、以前に比べて敷居が低くなっているようだ。

 池下先生の診察室では、腟の拡張トレーニングを始めるにあたり、まずは相談者に内診台に座ってもらい、自分の外陰部を手鏡に映して見てもらうのが第一歩。その際、ドクターが「ここよ」と腟の入口を示して教えてあげるのだ。トレーニングを希望する人たちはダイレーターを購入し、ドクターから使用法を伝授してもらうとともに、自宅でも練習して少しずつ慣らしていくという。

 ダイレーターには様々な太さ、長さのものがあり、5本セットになっている。1番小さなサイズは月経時に使うタンポンのように細いもの、1番大きなサイズは男性のペニスとほぼ同じ大きさ。まずは小さなサイズから順番に使っていく。

■腟の拡張トレーニングの手順は?


 トレーニングを行う際は体の力を抜いてリラックスを心がけ、以下のように進めていく。(いけした女性クリニックの場合)

 内診台に座った態勢で、ダイレーターを挿入する練習をスタート。ドクターが「ここが腟の入口」と鏡で見せて、示してあげる。まずは1番小さなサイズを自分の手で挿入し、慣れてきたら、徐々にダイレーターのサイズをアップしていく。

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最初は悲鳴を上げることも