内閣府の「子供・若者の意識に関する調査」を見ると、自分の将来に出世も経済的裕福さも望めないと考える若者が6割以上になっていることがわかります。
この背景にあるのは、日本経済の不景気感でしょう。経済が不景気だと、若者の気持ちまで沈み込んでしまう。
少子化対策として政府がまずすべきことは、世の中の景気を良くして、若者の進むべき道を明るくしてあげることです。
また、重要なのは、若者が若いうちに結婚をしてもいいと思えるような社会環境をつくることです。
「出生動向基本調査」から、恋愛結婚するための「限界出会い年齢」(結婚する相手に出会える割合が5%以下となる年齢)を割り出してみると、男女ともに25歳までに出会うと半分が結婚しますが、28歳では4人に1人しか結婚していません。34歳までに結婚しないと、そのまま未婚である可能性が高まります。
かつて樹木希林さんが「結婚は若いうちにしなきゃだめなの。物事の分別がついたら結婚できないんだから」と言っていましたが、その通りだと思います。
ここ数年はコロナ禍で出会いの機会を失った大学生も多いと思います。経済環境も厳しい。
ここの対策をしないと少子化に拍車がかかるでしょう。
子育て支援と聞いて、「とにかくなんでもいいから、バラまいてくれればいいよ」と短絡的に考えている人もいるかもしれませんが、政府も、国民にあげた分は、かならず回収しようとする。結局は今の子どもたちの将来の負担となる。借金をしていないのに、借金を背負わされるようなもので、これではますます未婚化も少子化も進んでしまいます。
――政治はなぜ「少母化」対策に言及しないのでしょうか。
結婚や出産に関しては、政治家が「結婚しなさい」「産みなさい」と受け取れるようなメッセージを出すと、反感を招きやすい面があります。その点「子育て支援」は誰からも文句は出ません。
ただ、実は20年5月にまとめられた「少子化社会対策大綱」では、重点政策として、1番最初に「若い世代が将来に展望を持てる雇用環境等の整備」、そして2番目に「結婚を希望する者への支援」が挙げられていました。これまでの大綱でも結婚や雇用への支援への言及はありましたが、子育て支援が一番に挙げられており、この順序逆転は画期的なものでした。
これは少子化対策として正しい課題認識です。ただ、その大綱の方針は残念ながら、今なお実現されていません。