野党も政府・自民党と同じことを言うのではなくて、本質的な課題を指摘するべきです。
人口推計では、2100年に日本の人口は6千万人になります。こうした現実を見据えた国家運営を考えてほしいものです。
――「出生動向基本調査」では、理想の子ども数を持たない理由として、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と答えた人が56%いました。
子育ては本当にお金がかかります。ただこれは、世帯年収が500万円の家庭でも、2000万円の家庭でも同じように不満が出てきます。子育てに関しては、惜しみなくお金をかけたいというのが親心というものだからです。
調査の数字は、この意識が表れているのだと思います。
お金を出したらもう一人産むかというと、そういったことを証明するデータはありません。
フランスやフィンランド、スウェーデンなどGDP比で家族関係支出を日本以上に出している国でも、出生率は軒並み落ちています。日本よりも支出率が高くても、出生率が低い国もあります。
フランス国立統計経済研究所は、出生率の低下の要因の一つに、出産・育児年代にあたる女性の減少、まさに「少母化」を指摘しています。
政府がお金を出すことと子どもを産むことに強い因果関係はない。少子化対策には若者に目を向けるべきだというのが私の考えです。
(聞き手/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)
◎荒川和久(あらかわ・かずひさ)
独身研究家、コラムニスト。大手広告会社において、企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当。その後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者として活躍。著書に『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』など