子どもを産む母親の数自体が減っている
子どもを産む母親の数自体が減っている

 ――では、何が少子化の原因なのでしょうか。

 それは子どもを産むお母さんが減っているということです。私はこれを「少母化」と言っています。

 そもそも、国勢調査によると、出産が可能とされる女性の15~49歳人口は90年の3139万人をピークに減少し、20年には2430万人になっています(年齢不詳除く)。

 さらに、結婚しない人もどんどん増えている。80年代までは生涯未婚率は男女ともに5%以下でしたが、90年代以降から生涯未婚率が上がり、20年には男性で28・3%、女性で17・8%になっています。

 結婚して出産するという絶対人口が減っている以上、出生数は上がらないし、出生率も上がらない。その事実は認識すべきでしょう。

 減ることは不可避だが、その減る幅を少しでも小さくする努力をするべきです。それが本来の少子化対策だと思います。

――政府はどうするべきですか。

 まず、婚姻数に目を向けるべきです。

 私が独自に見ているデータとして、「発生結婚出生数」というものがあります。これは婚姻数に対してどれくらいの出生があったかを示すものです。このデータを見ると1婚姻あたり、1・5人の子どもが生まれていますし、90年代からその数字は変わらない。つまり、2人を3人に増やすことよりも、結婚によって0人を1・5人にした方が出生数はあがります。

 未婚には2種類あり、一つは結婚の必要性を感じない人、もう一つは結婚したいのにできない人で、「不本意未婚」です。問題なのは、この不本意未婚です。データを見ると、この「不本意未婚」が4割います。ここの対策に力を入れるべきです。

――「不本意未婚」の原因はなんでしょうか。

 理由はさまざまですが、経済的余裕がないことは大きいと思います。給料が少ないし、上がったとしてもすずめの涙ほどしか期待できません。それ以上に税、社会保障費があがって、可処分所得がどんどん減っていく。「いつになったら結婚できるか」と考えながら、時間だけがすぎてしまう。

「貧すれば鈍する」で、生活に余裕がないと趣味を楽しもうとか、恋愛をしようとか、そんな考えが起きなくなります。

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