父・岸田首相を見つめる翔太郎氏
父・岸田首相を見つめる翔太郎氏

 今回の支払いについて岸田首相は「ポケットマネー」と弁解したが、尾藤さんはこう見る。

「土産購入が公務なら、その費用は公費で払うべきです。それを『ポケットマネー』というのは不可解。批判を受けてそういうことにしたのでしょう。公務だとしても、派閥や党内融和のために使うとなれば、それは国のためというより党のためなのではないでしょうか。また、ネクタイは土産のランクでいえば最も低く、派閥議員や同僚議員への土産のように見える。これまでの慣習を踏まえると、土産を受け取ったのは閣僚以外にも増える可能性があります」

 政治資金問題に詳しい神戸学院大の上脇博之教授も、公務でポケットマネーを使うことは矛盾しているとしたうえで、問題が起こる背景についてこう指摘する。

「公私の区別が明らかについていません。安倍首相が主催した『桜を見る会』に後援会の関係者を多数招待していたのも『公費の私物化』として問題視されました。日本経済はバブルがはじけてから不況ですが、自民党は政党交付金でバブルな状況があり、さらに官房機密費まで使える。お金があふれ、庶民感覚を失っているのでしょう。一度、余分なお金を断つ“金断治療”をしないと、公金のありがたみがわからないのだと思います」

(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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