例えば、患者さんが実際に病院に行ってお医者さんと接したときに「この先生も学生の時はこんなことをしていたんだろうな」みたいなことをフッとでも思ってくれれば、なにかコミュニケーションがもっと深まるんじゃないかなと。そういうことを考えながら作品づくりをしています。

大塚:この先もすごく楽しみにしております。皮膚科が出てくるところを非常に楽しみにしております(笑)。

三田:僕からも今後の企画の参考にお聞きしたいのですが、先生から学生さんになにか求めることとか、こういうお医者さんになってほしいみたいな……。ちょっと漠然としているんですけれど、お聞きできればなと。

大塚:そうですね、たくさんあるんですが、一つ思うのが、人とのコミュニケーションですよね。「今日、なんか患者さんの表情が固いな」とか「こっちがしゃべった後に納得してなさそうだな」とか、「感じる力」を培ってほしいなと思います。学生のうちに対人関係を通して学んだことが、診察室で多く使う場面が出てくるので。

勉強できる人たちは本当にしっかり勉強していて、正しいことを言うんですが、一方で正しいことを言ったせいで患者さんともめることもあってですね。正しいことを言うことが必ずしも患者さんを救うわけではないというか。そこが分かるためには、普段の学生時代の人間関係で学ぶものがやっぱりベースになっているんじゃないかなと思います。こればかりは、教えられないんですよね。

教授が主人公たちに影響を与える言葉を送る場面(c)Norifusa Mita / Cork
教授が主人公たちに影響を与える言葉を送る場面(c)Norifusa Mita / Cork

三田:こっちの事情で大変恐縮なんですけれど、主人公の円君が挫折しかかっているときに、教授が心の支えになるアドバイスをひとこと言う、かっこいい場面を作りたいんですよね。そういう場面に学生の人間性、成長に何か刺さるような、名言っぽいものをストックしておきたいなと思っているんですよね。

大塚:では、せっかくなので伝えたいことを言っておくと、「優しいだけの医者になるな」、「優しいだけなら医者でなくてもできる」ということです。

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優しさに逃げてしまっている学生も