で、先生に相談したいなと思っているのが、実は皮膚科が主人公だったり、舞台になっているマンガがないんですよ。
三田:そういわれてみればそうですよね。
大塚:なぜかと考えると、ハラハラドキドキする場面があまりない。なかなかマンガ化やアニメ化されないことが皮膚科の認知度が上がらない理由の一つかなと思っています。
三田:そうですね、結局マンガの企画の立て方によると思うんですよね。要するにお医者さんそのものを描いてお医者さんのスキル、いわゆる外科の腕であったり画期的な治療であったり、あるいはそういう患者さんの危機的な状況を救うという、そっちに刺激を強く求める作品にするのか、あるいはお医者さんそのもののキャラクターを描いてお医者さんの日常だったり、環境そのものに読者に興味を持ってもらうかで作品のアプローチが全然違うと思うんですね。
確かに皮膚科は患者さんの危機的状況を描くのは難しいと思うんだけど、そういうお医者さんの目を通して、いろんな町の環境であったり患者さんとお医者さんのコミュニケーションであったり、そっちに軸足を置いたマンガの企画にすれば成功の確率はあるんじゃないかなと思うんですよね。
だから『Dr.Eggs』も、主人公の子は患者さんを救うわけではないんだけど、医学部という環境を描くことによってキャラクターの成長を描くという物語にしていて、どこに視点を当てるかで全然違ったものになるとは思うんですよね。皮膚科でも描こうと思えば描ける分野だとは思うんですけどね。
大塚:ありがとうございます。『Dr.Eggs』は、本当に医学生のリアルを描いたマンガというのがとても新鮮です。
三田:確かに我々一般社会の人間は、医学部で何を学んでどういう手順をふんで国家試験を通ってお医者さんになるのかという道筋が全然情報がないんですよね。我々が目にすることも聞いたこともないことばかりなので、そこを一つひとつ丁寧に描いていって読者の皆さんが医学生と一緒に成長の過程を追体験していけるような作品に仕立てていければと思っています。