実は日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)は世界有数の高高度気球の実験グループを有しており、これまでに400機以上の巨大な気球を飛ばし、さまざまな科学調査や実験を成層圏で行ってきた。しかし、そのことを知る人は少ないだろう。
現在、サウスカロライナ州沖で撃墜された気球の残骸の回収作業が行われている。
「その結果、気象観測用の機器が搭載されていたか、つまり、中国の主張が裏づけられるかが判明します。本当に気球が気象観測用で、飛行中に航路を外れてしまったのであれば、その時点でアメリカやカナダに通告すべきだったでしょう。最近の米中関係を考えれば、中国は誤解してほしくないはずですから。今、アメリカ人にとって中国は国民的悪役のような存在になってしまった。通告しなかった代償は大きいと思います」
最近、中国筋は次のような情報を流している。
<米本土上空を飛行し米軍が撃墜した中国の偵察気球は、中国軍内で宇宙やサイバー戦を担当する戦略支援部隊が管轄し運用に関わっていたことが9日、分かった。複数の中国筋が明らかにした。軍は気球の米本土侵入を自国の外務省にも連絡しておらず、最高指導部は部門間の意思疎通の改善を指示した>(共同通信)
つまり、今回のことは軍が行ったことで、中央政府は知らなかった、ということだ。新たなカバーストーリーだろうか。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)