同じ患者さんなのに、こんなに様子が変わってしまうのかと驚くこともあります。

 このような口の中では、歯周病菌が増殖しやすく、病気も進行しやすい。スギ花粉症の治療を受けて、しっかり、鼻水や鼻づまりの症状を改善することが大事でしょう。

 一方、花粉症に使われる抗ヒスタミン薬の中には、副作用として口渇(唾液が減る)があらわれる薬があります。副作用でそのようになっている場合は、主治医に相談して、薬を変えてもらうほうがいいですね。

 また、セルフケアは普段よりもていねいに、プラークがつきやすいことを自覚して、みがいていただくことをおすすめします。

 口呼吸で唾液が減ってしまっている場合は、これを補う方法として、こまめに水分を取る、保湿剤入りのマウスウォッシュ(市販品)を使う、などがあります。歯科でも、ドライマウスの人を対象に、人工唾液や唾液分泌促進薬があり、必要に応じてこれらを処方することもできます。

 さて、花粉症の症状がつらい場合、歯科の治療では、苦しさが倍増しないよう、一つ一つの治療に気を使います。鼻がつまっていて口呼吸になっている場合、通常の処置は問題ありませんが、口の中にたまった唾液を吸い込む「バキューム」の処置をするときは、呼吸をしにくくなるので、つらいはず。このため、できるだけ短く、こまめに処置を行うようにしています。

 デンタルチェアについては、倒して治療をすることが多いので、鼻水が出てきて困ることはないようですが、鼻水がのどに落ちてつらいことはあるかもしれません。そのようなときは遠慮なく主治医に伝えてください。

 また、口呼吸が続いている人の中には、口角や唇がひびわれていたりする人もいます。あまりにひどくて痛そうな場合は、ワセリンなどのクリームを塗布することもあります。

 くれぐれも、お伝えしたいのは、スギ花粉症対策、歯周病対策、どちらも大事だということです。歯周病は無症状のうちに進行し、歯ぐきや歯の土台となる骨(歯槽骨)を破壊します。口の中にプラークが付着している状態が続けば、やがて歯がグラグラし、ある日、ぽろりと抜けてしまうこともあり、日本人が歯を失う原因のナンバー1です。

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