実際、厚生労働省がまとめているデータによれば、大卒者の卒業直前時点での内定率は、過去10年をさかのぼっても90%を下回ったことはありません。

 そして、そんな仕組みの中でうまく立ち振る舞うための情報も、ネット上には山ほど存在します。

 そうであれば、「どういうふうに仕事と向き合っていきたいか」なんて、ややこしいことを考えず、今の仕組みに乗っていたほうがスムーズに就職できていいじゃないか、と考えたくなるのも当然です。

■「後悔のない就活」のために

 僕も大学生の頃、就活を始めたときはまさに、何となく「みんなが知っているような会社に入れればいいかな」と思っていました。

 自分が将来やりたいことなんて見えていなかったし、ゴールから逆算して人生を考えていこうなんて思えていませんでした。

 しかし現実の仕事選び(就職先選び)は、ネットに書かれたノウハウどおりに動けばうまくいくような単純なものではありませんでした。

 そのことに僕が気づいたのは、実際に就職して働き始めてからです。残念ながら、仕事選びにおいて一番大切なことを教えてくれる人は、就活生だった僕の周りにはまだいませんでした。

 そんな僕の転機になったのが、グーグルという会社との出会いです。

 僕は新卒で入った会社を3年で辞めています。もちろん、その会社での3年間でも数多くの貴重な経験をさせてもらいましたし、入社したこと自体を後悔したことはありません。

 ただ、就活していた頃の自分を振り返って、もっと自分なりの強い想いや目的をもって就活していれば、大学卒業後の日々をさらに深い学びに満ちた時間にできていたのではないか――そんな思いが頭をもたげたこともあったのです。

 もし大学生の僕が、冒頭で紹介した5つのポイントを知っていたら、就活の仕方、自分自身の紹介の仕方、そして会社の選び方は大きく違っていただろうと思います。しかしそれも、今となっては絵に描いたです。

 だから本当のことを言うと、他人の就活について偉そうに語る資格なんて、僕にはないのかもしれない、とも思います。でも僕は、今の就活生のみなさんに僕と同じような後悔をしてほしくない。勝手な願いではありますが、これこそ、僕がグーグルをやめ、新卒採用支援を行う会社に転職した理由なのです。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?