2000年代以降は金本知憲、城島健司、新井貴浩、福留孝介、糸井嘉男などいわゆる“外様”の選手や外国人選手への依存度が高いシーズンが続いたが、チーム待望となる生え抜きの和製大砲として現在の打線を牽引しているのが大山悠輔と佐藤輝明の2人だ。大山は3年連続、佐藤は2年連続で20本塁打以上をクリア。ちなみにラッキーゾーン撤廃後に3年連続で20本塁打以上を放った生え抜き選手は大山が初であり、生え抜き選手が2人揃って2年連続で20本塁打以上を記録するのも初のことである。

 特に大山は投手が人気となった2016年のドラフトで単独指名を敢行した結果の成功であり、その後の指名に与えた影響は大きい。他にも昨年ウエスタン・リーグで2位となる11本塁打を放った井上広大、今年のドラフト1位ルーキーの森下翔太なども今後が非常に楽しみな存在だ。

 ちなみに阪神の生え抜き選手が30本塁打以上を放ったのは冒頭で触れた1985年が最後であり、セ・パ両リーグ合わせて最も古い記録である(2005年参入の楽天は生え抜き選手の30本塁打以上は不在)。果たしてその不名誉な記録に終止符を打つのは誰なのか。虎の生え抜き大砲の今後の更なる飛躍に期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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