事件直後の様子。救急隊員にタオルのようなもので首元を押さえられる宮台真司さんの姿が見える
事件直後の様子。救急隊員にタオルのようなもので首元を押さえられる宮台真司さんの姿が見える

 前述の主婦が、容疑者である「息子」を見かけるようになったのは3~4年前だという。

「男は、この家(別宅)には寝るために帰ってくるだけという感じでした。男が住み始めてからは、昼間に信者らしき人たちが出入りすることはなくなりました。午前7時半ごろに私がゴミ出しに行くと、男が自転車で出かけるのを見かけました。いつも男は目をそらし、うつむいていて、あいさつはしませんでした。人と関わりたくなかったのでしょう」

 近所に住む別の女性はこう証言する。

「さびてボロボロの自転車に乗っていましたね。朝、自転車に乗って(別宅から)実家にご飯を食べに行くのが日課だったようです。夜になると、また自転車で(別宅に)帰って来ました」

 そして、こう首をかしげた。

「朝に男が出かけると、母親が午前9時半ごろにやってきて、家の玄関をはき、雨戸を開けたりしていました。男はバイトなどの仕事をしている様子はありませんでした。なぜ、ひきこもりのような生活をする息子を別宅に住まわせ、掃除も母親がやっていたのか不思議でした。掃除くらいは息子が自分でやればいいのにと思っていました」

 近隣住民によれば、男が別宅を出た後に訪ねて来るのは母親だけで、他に人影はなかったという。

 母親は午前9時半ごろに別宅にやってきて、玄関前のはき掃除をする。男は帰宅後に「実家」に立ち寄り、別宅には夜、寝に帰るだけという生活スタイルだったようだ。

 そんななか、昨年12月17日の昼ごろに救急車やパトカーが集まり騒然となった。

「何があったんだろうと思いましたが、母親が息子が死んでいるのを発見し、救急車を呼んだようです。今から考えれば、その前日(16日)に息子が自殺したのだと思います」(近所の主婦)

 男の別宅から実家へ移動すると、家の前には軽自動車が止まっていた。実家の近隣住民はこう話す。

「男は無口で、引っ込み思案な性格でした。上に姉2人がいて、3人きょうだいの末っ子。姉たちは結婚したりして実家を出ています。男は野球部のピッチャーをやっていましたが、高校2年ごろから学校へ行かなくなったようです。母親から『どこか良い精神科の病院を知らないか』『心療内科の看護師さんを紹介して』などと相談されたことがあります。男が仕事をしている様子はありませんでした」

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家族と言い争うような声はなく「静かだった」