Hey!Say!JUMPの薮宏太さんが、昨年に続きミュージカル単独主演を果たす。今回はセリフなし、旧約聖書の「ジョセフの物語」を、全編を通じて歌で表現する。AERA2020年3月2日号は、そんな薮さんに舞台への思いを聞いた。
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――「ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート」(以下、「ジョセフ」)は旧約聖書「創世記」の「ジョセフの物語」をベースにしたミュージカル作品だ。世界中で親しまれている作品だが、日本人キャストによる本格的な上演は初めて。主人公、ジョセフを演じるのは、Hey!Say!JUMPのメンバーとして活躍する薮宏太さん(30)だ。
このお話をいただいたのは去年の夏、ちょうど主演ミュージカル「ハル」が終わった頃でした。ミュージカルはまだまだ勉強することがあるし、またやりたいと思っていたので、これは自分がやるべき舞台だろうなと。それですぐに映画版のDVDを見たんです。そしたらセリフはなくて、全部が歌だった。驚愕しました(笑)。セリフなしでお客さんにストーリーを理解してもらわなくちゃいけないし、ジョセフの感情も歌で表現しなきゃいけない。僕にとって大変な挑戦になるだろうなと思いました。
その後、ロンドンのウエストエンドで上演されていた「ジョセフ」を見に行ったんです。衣裳もセットも色彩豊かで、誰がどんなキャラクターなのか、今どんな場面を演じているのか、パッと見ただけでわかりました。旧約聖書をベースにしたお話だけど全然難しくないし、予備知識も必要ない。だから、たくさんの方に楽しんでもらえる作品になるだろうなと思いました。すごくハートフルなので、見た後は家族や友人に優しく接したくなると思います。
――この作品では、波乱に満ちたジョセフの人生を、ロックやシャンソン、カントリーなど多彩な音楽で表現する。
ジョセフは天真爛漫な男なんですが、兄弟に疎まれて陥れられ、奴隷として売られてしまう。無邪気な明るさや悪気のなさって、意外と人を傷つけたり、イラッとさせたりすることもあって。歌唱指導の先生からは、「そういうジョセフを歌で表現してほしい」と言われました。
そんな状況でも、ジョセフは持ち前の明るさで、苦境を嘆くような暗い歌よりも、優しく包み込むような歌を歌う場面が多いんです。だから、明るさが伝わるような声色や発声を研究しています。ただ、ジョセフの思いを伝えようとするあまり、滑舌よく歌い過ぎると、お客さんは「この人、頑張ってるな」という方向に意識が向かってしまって、逆に伝わらなかったりする。僕も舞台やミュージカルを見てそう思うこともあるので。だからいい意味で頑張り過ぎず、優しく無理なく、歌う姿を見せたいなと思っています。