業種自体を変えてしまうことも、実はそれほど難しくない。
50代の女性は、7年前に検査業務の会社に転職した。
元は英語教師だ。複数の公立、私立の中学高校でがむしゃらに働いてきたが、40歳を過ぎ、過労で体調維持に不安を覚えるようになった。
「仕事に対するポジティブな気持ちがなくなり、生きるって仕事だけじゃないと思うようになりました」
50歳を過ぎて未経験の異業種に転職するのは不安もあったが、飛び込んでみると、意外に肌に合った。
数人の社員が働く小さな会社。主な業務は英語でのパソコン入力とメールのやりとり。残業も出張もないため手当ての上乗せはないが、自分のペースを維持し、平穏な心持ちで働ける。女性は最近、内面に変化がおきたと感じている。
「若い頃は周囲の同級生たちと比べて自分はどうか、ということを気にしていました。でも今は、年収やポジションと関係なく、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いという自分の価値観で人を見たり、人とつきあったりできるようになりました」
(文/編集部 渡辺豪)
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