さいたまスーパーアリーナで公演するクイーン+アダム・ランバート(撮影/岸田哲平)
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さいたまスーパーアリーナで公演するクイーン+アダム・ランバート(撮影/岸田哲平)
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さいたまスーパーアリーナで公演するクイーン+アダム・ランバート(撮影/岸田哲平)
さいたまスーパーアリーナで公演するクイーン+アダム・ランバート(撮影/岸田哲平)

 偉大なものたちの登場を待って、何万人という観客たちのはやり高まる気持ちが会場に膨らむ。そして、どこまでも包み込んでいくようなぬくもりが漂う。

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「クイーン+アダム・ランバート」の「ザ・ラプソディ・ツアー」日本公演。映画「ボヘミアン・ラプソディ」の世界的なヒットの後、その興奮が続く中での来日だ。さいたまスーパーアリーナ(25日、26日)の2公演と京セラドーム大阪(28日)公演を見た。クイーンのオリジナル・アルバム15枚すべてに目配りした約30曲、約2時間15分のステージは、クイーンが「家族」の一員としてアダムを受け入れ、その様を不世出のボーカリスト、故フレディ・マーキュリーが天上で喜び、客席も含めて深い愛情で包み込むような気分に満ち溢れていた。

 オーケストラピットで錯綜する楽器音のような音響に続き、「イニュエンドウ」のイントロが流れ出した。この瞬間を、首を長くして待っていた客席は、もう沸騰状態。そこにブライアン・メイが弾くギターが響き出す。「ナウ・アイム・ヒア」だ。メンバーが姿を現す。客席に堰を切ったような歓声がとどろいた。

 映画「ボヘミアン・ラプソディ」はクイーンに確実に新たな生命を吹き込んだ。ブライアンが10代で作った曲「炎のロックン・ロール」はクロマティック進行のギターサウンドが優れた曲だが、この曲の価値も再発見されたのではないか。映画は、フレディを主演したラミ・マレックの真率な秀演もあって、クイーンの楽曲、足跡を分かりやすく、輝かしく豊潤化したのだろう。

 ステージは次々とクイーン初期の曲がメドレー風にたたみかけ、映画でクローズアップされた1985年のチャリティー・コンサート「ライヴ・エイド」でも演奏された「ハマー・トゥ・フォール」へ。ブライアン、ドラムスのロジャー・テイラー、そしてボーカルのアダム・ランバートの息は見事に合い、楽曲の音源に近く、つまりは安定感があり、再現性が高い。

 アダムが「2人のロックレジェンドだ」とブライアン、ロジャーを紹介し、「僕はフレディ・マーキュリーを愛している。君たちは?」と客席に語りかけると、「イエース」と絶叫する女性の声、声、声……。演奏は、「ドント・ストップ・ミー・ナウ」「愛にすべてを」とヒット曲を連続し、映画でも言及があったロジャーの曲「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」が彼の「ワントゥスリー、ワントゥスリー」の声とともに始まる。そう、三拍子のロックである。「アイ・ウォント・イット・オール」に入る前のアダムのボーカルとブライアンのギターの掛け合いで、アダムの歌唱力が光った。この曲ではブライアンのオーケストレーションされたような幅のあるギターサウンドもうなる。

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飛び抜けて歌のうまいシンガー