公立の中高一貫校がいま人気だ。学費の安さなどさまざまな要因はあるが、独自の教育方針で「攻める」学校が多いことも見逃せない。AERA 2020年1月27日号では、公立中高一貫校が導入する「特色のある教育」をライター・柿崎明子氏が迫った。
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桜修館中等教育学校(東京)は開校以来、独自教科として「国語で論理を学ぶ」「数学で論理を学ぶ」を授業に取り入れてきた。2時間続きで週に1回、国語と数学を交互に行う。国語はテーマを設けてグループ討論やディベートを行う。新聞の読み比べを通してメディアリテラシーを学んだり、弁論のための原稿の書き方、話し方などを身につけたりする講座なども設けられている。数学は問題を解く過程を文章化したり図形の定理や公式を論理的に証明したりしている。授業では扱わない統計なども取り上げるという。
中学次は毎年短い論文を仕上げ、高校2年次に1年かけて5千字の研究論文に取り組む。
「研究論文を書くにあたって、大学の教授から論文の書き方の指導を受けます。記述力はもちろんですが、似たテーマの先行論文を検索する方法、資料の読み込みや調査など、作成の過程で生徒は多くのことを学びます」(鳥屋尾史郎校長)
同校は06年に開校し、1期生が東大4人、東京工業大4人現役合格と期待以上の成果を上げて話題を呼んだ。その後もコンスタントに難関大への合格者が輩出している。
「論理の授業は、社会に出てから必要な力として行っているが、結果として大学入試に結びついている。学習だけでなく、学校行事や部活動の取り組みなど、いろいろな要素が混じり合った結果だと思う」(鳥屋尾校長)
昨年、瀬戸内海の大崎上島に開校した全寮制の公立中高一貫校も注目を集めている。広島叡智学園だ。
総合的な活動の時間を利用した「未来創造科」では生徒たちが課題を設定し、解決に向けてチャレンジする。地域に溶け込んで活動するのも特徴だ。