実際、周りのアメリカ人を見ると、子どものころから自己主張が強く、個性も強く、リーダー役をやりたがり、お国柄もあって多様性には寛容です。アメリカの公園にある子ども向けのルール書きを見ると、「優しく。(Be kind.)」「思いやりをもって。(Be considerate.)」などと非常に基本的な注意にとどまっていて、子どもに独立性をもって判断させようとしている印象があります。そのうえ、「小さい子に気をつけて」や「地球環境を守ろう」のようなルールもあり、社会の一員としてリーダーシップを持たせようとしているようにも思えます。
もちろん日本人の生活習慣・規則遵守には目を見張るものがあります。まだ言葉もしゃべれないような幼い子どもにも手洗い・歯磨き・着替えなどを徹底していて、保育園児たちはちゃんと整列して先生の指示を聞いている──。日本にいるかたにとっては当たり前の光景かもしれませんが、普段アメリカに住んでいる者からすると驚くべきお行儀のよさです。そこにルールの背景を想像する大局観や、ルールが崩壊したりミスが起きたりしたときの応用力がついたら、それはもう最強になるんじゃないかと思うのです。
※AERAオンライン限定記事
◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカ在住ライター。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi