高血圧と比べ、低血圧は診断も治療も注目されていない。辛い症状を改善するためには、どうすればいいのか。AERA 2019年12月23日号では、低血圧の特徴、不調の解消法を紹介する。
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血圧は、どこまで下げればいいのか。日本高血圧学会は理想的な数値を示す至適血圧を120mmHg/80mmHg未満としている。東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌医師はこう話す。
「血管のことだけを考えれば、血圧は低いほうがいい。若い時からずっと低血圧という人は、70、80歳を過ぎても血管が丈夫で、血管病になりにくいのです」
桑島医師は、低血圧を「交通の少ない道路」に例える。車が少なければ道路は傷みにくいというわけだ。
日本では、上の血圧が100mmHg以下の場合を低血圧と診断することが多いが、高血圧とは異なり、診断や治療に関してはあまり注目されていない。一方で、低血圧による不調を訴える人は少なくない。
低血圧患者を多く診療してきたせたがや内科・神経内科クリニック院長の久手堅司医師によると、低血圧にはめまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、倦怠感など、さまざまな症状があるという。女性ホルモンは血圧を低く抑える働きがあるため、低血圧を訴える人は、閉経前の若い女性に多い。