日本ワインをご存じだろうか。国産ワインとは違うことも。いま国内だけでなく世界からも注目され、各社が増産計画を打ち出す。AERA 2019年12月2日号の記事を紹介する。
* * *
「ウイスキーは世界で認められたことで広がった。同じことが日本ワインでもできると確信している。令和の時代を振り返ったとき、日本ワインが世界に羽ばたいているように」
ここはワイン大手メーカー「メルシャン」が9月にオープンさせた「シャトー・メルシャン 椀子(まりこ)ワイナリー」(長野県上田市)。その内覧会で、同社の長林道生社長は、熱く語った。
同社は他にも、桔梗(ききょう)ケ原(同県塩尻市、2018年9月)と勝沼(山梨県甲州市、19年8月に新セラー開業)の2ワイナリーを持つ。3番目となる椀子は、ぶどう畑「椀子ヴィンヤード」をオープンして以来10年以上をかけて開業を準備し、満を持してのオープンとなった。
長林社長が語った「日本ワイン」は、いわゆる「国産ワイン」とは意味合いが違う。18年に施行された国税庁の「果実酒等の製法品質表示基準」、いわゆる「ワイン法」によって、「日本で醸造され、日本産のぶどうを100%使ったワイン」だけが「日本ワイン」と明確に定義されたのだ。国産ワインの中には、海外のぶどう果汁を日本で醸造する物もある。日本ワインは、限られた国産ワインだけが名乗れるブランドだ。
その日本ワインはいま、人気が急上昇している。国税庁の調査では、14年に162万ケースだった出荷量が17年には173万ケースに。さらに、ワイナリーの数は18年3月末時点で303場にもなった。
こうした人気を受けて、大手ワインメーカー各社も、日本ワインを絶賛増産中だ。メルシャンは、18年時点の日本ワインの販売数4.4万ケースを「26年には6万~7万ケースまで伸ばす」(同社を傘下に持つキリンホールディングス広報)という、強気の目標を設定。