チェンジウェーブでは無意識バイアス対処ツールを研究者と共同開発しているが、いったん作られた無意識バイアスを払拭するには「意識的に」コントロールし続ける必要があるという。

「日本企業の中でも先進的な会社はこうしたバイアスを外す取り組みを始めていますが、マネジメント層の意識が変わらなければ変革は難しいと思います」(佐々木さん)

 メガネもハイヒールも、自分が好きで着用したりしなかったりするのはいい。だが、会社がそれを「強要」することに法的な問題はないのだろうか。女性の労働問題に詳しいセンチュリー法律事務所の小澤亜季子弁護士はこう説明する。

「客室乗務員のケースのように、安全上メガネを外すというのはある程度の必要性が認められますが、美容部員のケースは必要性や相当性は認めにくいです。有名なメイクアップアーティストでメガネをかけている人もいて、メガネだと差し障りがあるという理由にはなりません。女性だけがお茶くみや電話対応をしなければならないというのは、性別を理由に差別的な取り扱いをしていることになり、男女雇用機会均等法違反に当たります。会社はこれが大前提だと認識してほしい」

 海外からも「ナンセンス」と言われてしまう日本の珍慣習。今すぐ変えるべきだ。(フリーランス記者・宮本さおり、大楽眞衣子)

AERA 2019年11月25日号より抜粋

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