

女性従業員だけに「メガネ禁止」というルールを適用する職場があることが、ネット上で議論になった。実際に禁止されている職場で、女性はどのように感じているのだろうか。AERA 2019年11月25日号に掲載された記事を紹介する。
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身だしなみには特に気を使うというのが化粧品業界。美容部員も、メガネが落ちると危ない、見た目がよくないなどの理由でメガネ禁止になるところがあると、今回も指摘された。横浜市の30代の美容部員の女性は、メガネ禁止のルールは、
「どのメーカーでも当たり前のように続いてきた。目元のメイクを見せたい気持ちもあるので、疑問に思ったこともない」
と話す。特別な事情でメガネになる場合は、会社に申請すればOKだ。ただ、その際に、
「結膜炎でメガネにした先輩は、販売店のオーナーに『みっともない格好』と叱られました」
ルールは理解できても、そのルールを運用する際に、時代錯誤な固定観念が入ってきて違和感を抱くというのだ。
一方、同じ美容部員でもメガネ着用は自由というのは、埼玉県在住の50代の女性。
「お客様の肌を見るときに必要と判断すればメガネをかける人もいます」
この職場では、「お茶くみは女性」なんてこともない。
「本部でのミーティングは男性社員が多いのですが、営業の第一線は私たち女性スタッフ。男性社員がお茶を自然に入れてくれることもあります」
会社による違いはなぜ生まれるのか。組織変革コンサルティングなどを行うチェンジウェーブ代表の佐々木裕子さんは「マネジメント層にある『無意識バイアス』の影響」を指摘する。
「『接客業はメガネをかけないほうがいい』や『お茶くみは女性がいい』という思い込みは『無意識バイアス』によるもの。無意識バイアスは誰にでもある脳の働きで、経験則から作られます。『ジェンダーバイアス』に限らず『高齢者には受け付けの仕事は難しい』などさまざまなバイアスがあります」