元徴用工をめぐる韓国からの提案(AERA 2019年9月23日号より)
元徴用工をめぐる韓国からの提案(AERA 2019年9月23日号より)
元徴用工をめぐる韓国からの提案(AERA 2019年9月23日号より)
元徴用工をめぐる韓国からの提案(AERA 2019年9月23日号より)

 日韓関係がこじれたまま、解決への道筋が見えない。元徴用工をめぐる問題では、韓国側が極秘に訪日し、断られた提案を繰り返していたことが明らかになった。AERA 2019年9月23日号に掲載された記事を紹介する。

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 韓国の元徴用工らに対する日本企業の損害賠償問題を契機にこじれにこじれる日韓関係。9月に入って、新たな動きとして日韓メディアが報じたのが「1プラス1プラスα」提案だ。おおざっぱに言えば、徴用工と関係した日韓両企業に加え、韓国政府も資金を拠出して財団を設立し、元徴用工らに支給するという案だ。

 韓国側は否定しているが、李洛淵(イ・ナギョン)首相が2日にソウルで河村建夫・日韓議連幹事長と面会した際、提案したという。李氏は、日本が対韓輸出規制強化をやめれば、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA・ジーソミア)破棄の撤回も考えられるとも伝えた。

 安倍晋三首相は3日、報告するために首相官邸を訪れた河村氏に「国と国との国際約束だからしっかり守ってもらいたい。その一言に尽きる」と述べ、元徴用工問題は日韓請求権協定で解決済みとの立場を改めて強調した。日韓関係筋によれば、官邸は「なぜ、すでに2度もダメだと伝えた案にこだわり続けるのか」とあきれかえった。

 同筋によれば、この案が最初に示されたのは7月下旬。韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長が極秘裏に訪日し、谷内正太郎国家安全保障局長と会談したときだった。韓国は6月、趙世暎(チョ・セヨン)・第1外務次官が秋葉剛男外務事務次官と東京で会談した際、日韓両企業が資金を出す「1プラス1」案を提示したが、日本側から断られていた。

 当時、韓国側は、日本が輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」のリストから韓国を外す政令改正が迫っていることに焦りを覚えていた。鄭氏は「1プラス1」案から更に譲歩する形で「1プラス1プラスα」案を提示したという。日本側はこの提案を断った。

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