「国語と数学の記述式問題」に不安を感じる?(AERA 2019年9月2日号より)
「国語と数学の記述式問題」に不安を感じる?(AERA 2019年9月2日号より)
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自己採点できない採点基準に疑問(AERA 2019年9月2日号より)
自己採点できない採点基準に疑問(AERA 2019年9月2日号より)

 混乱続きの2020年度からはじまる大学入学共通テスト。記述式問題についても、課題は山積している。

【図を見る】さまざまな疑問の声があがっている

 8月上旬、都立高校に勤務する国語教員(31)は、頭を抱えた。校内の夏季講習で1年生に大学入学共通テストのプレテストを解かせたところ、新たに導入される記述問題で、自己採点できないケースが出てきたのだ。

「模範解答と少しずれた答えを生徒が書いたとき、点をもらえるのか。判断しきれないケースがいろいろ出てきました」(教員)

 従来のセンター試験では、受験生は問題用紙に自分の答えをメモし、予備校などがアップする解答と照らして自己採点していた。記述式問題では、この自己採点が難しくなる。試験後は、生徒の混乱が予想される。

「共通テストの翌日は平日で、教員は通常通り授業を持っている。記述の採点の相談に300人近くの生徒が来ても、数人では対応しきれない。試験時間が足りず、記述のメモを残せない生徒もいるだろう。得点を確定できないとなると、学力以上の大学へのチャレンジ出願をこれからは推奨できなくなる」(同)

 大学入学共通テストでは、国語と数学に記述式問題が導入される。AERAが行ったアンケートでは、記述式問題の導入に約9割が不安と答えた。多くあがったのが、自己採点の不安と、採点者に対する不安だ。50万人が受験する共通テストの採点には、1万人が必要といわれる。7月、その採点者に大学生が含まれる可能性が報じられた。

 札幌の私立進学高に通う1年生の男子生徒(15)は、「大学生が採点なんて、ありえないでしょう」と怒りをあらわにした。

「国が主導する大学の入学試験ですよね? 数学の記述も数式とかだけになり、問題を解く手立てを短文で書く記述はなくなった。それでは思考力は測れないので、無理に記述式を導入する必要はないと思います」

 大手予備校の全国模試の採点経験がある、元高校教員は機密保持を心配する。

「模試の採点者は求人で集められます。機密保持については必ず注意がありますが、最後は個々人の良心にかかっている。1万人もいるとなると機密保持を担保できるのか」

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