国はどう考えているのか。自己採点の不安に対しては、文部科学省の錦泰司・大学入試室長が、「参考になる資料を高校向けに作ることを検討しています」と答えた。採点者への不安には、大学入試センターが「民間事業者を有効に活用し、厳正な審査を行って採点の適性がある採点者を採用。十分な研修と、複数の視点で組織的・多層的に採点を行う」とアナウンスしている。
受験生から記述の採点答案の開示請求があった場合、どう対応するのか。
「検討中です。来年6月に共通テストの実施要項を公表しますので、その頃までにお示しする予定です」(大学入試センター)
国語の記述式問題の成績をどう活用するかは、英語の民間試験同様、各大学の判断に委ねられている。前出の駒形さんは言う。
「共通テストの先行きを決めるボールを握るのは大学。もう大学の良識に任せるしかない」
共通テストの問題を認識しているのであれば、使わない判断をすべき。それが受験生の救済につながる、と駒形さんは言う。
当事者の高校生や教育関係者らが延期や中止の声を伝えても文科省は強硬姿勢を崩しておらず、多くの人の視線は、いま大学側の出方に注がれている。国と大学、両者の判断に多くの若者の未来がかかっている。(編集部・石田かおる)
※AERA 2019年9月2日号