夫婦共働きが増え、育児を積極的に行う男性が増えている。それに伴い、企業が男性の育休を推奨する取り組みも増加傾向にある。子育てのしやすさを職場に求めるのは、もはや女性に限ったことではない。
【グラフ】10年でどう変わった?男性の育児休業取得率の推移はこちら
* * *
積水ハウス、三菱UFJ銀行など、「男性育休義務化」を推進する大手企業が出てきた。先月には、自民党の有志議員による男性育休義務化を目指す議員連盟も発足した。
「イクメン」が流行語大賞にノミネートされたのは2010年だが、当時のイメージは「一部の特別な人たち」という枠を出なかった。しかし、今はその層が一気に広がりつつあり、男性が積極的に育児をすることは、もはやメジャーなことになろうとしている。
風を吹かせているのは、当の男性たちの意識の変化だ。マイナビが大学生・大学院生を対象に毎年行っている意識調査によると、20年卒業予定の学生・院生4656人のうち「育休を取って積極的に子育てしたい」と回答した男子は43.6%と過去最高。前年と比べて、4.9ポイント増と急速な伸びを見せている。
この春に大学を卒業して通信会社に勤める男性(22)は言う。
「育休はぜひ取りたい。取りやすい雰囲気があるかを、入社前に確認した」
“売り手市場”で就職する彼らにとって、「子育てしやすい環境」は、会社を選ぶ際の重要なポイントになっているようだ。
リサーチ会社のサービスで、社会の不満を集める「不満買取センター」が6月に実施したアンケートによると、回答した男性のうち、育休義務化に賛成するのは75%と多数派。年代別では20代が最も高く82%、30代は78%、40代が70%だった。働きながら子育てに直面している世代の男性たちも、育休に賛成していることがわかる。
日本生命は、13年に男性の育休取得推進施策を導入し、6年連続100%を達成。これまで育休を取った男性社員は累計約1600人、割合にして2割になるという。
同社輝き推進室長の梶原織梨江さんは言う。
「推奨の目安とする期間は1週間。まずは期間が短くても100%達成にこだわることに意味があります。女性からすると『短い』と思うかもしれないが、施策開始から7年目を迎え、身近な同僚の男性社員が育休を当たり前のように取る雰囲気が根づいてきた。ここ数年で1カ月以上の長期で取得する例も増えてきたのは、100%取得にこだわった効果だと考えています」