ついでに言えば、そういうことなので「勝った」方々には恥じらいと恐れを持って政策に臨んでもらいたい。得票の後ろには様々な矛盾や思いがあるのだ。君ら神になったわけじゃないのだよ。

 それはさておき、親愛なる編集部の方々はそんなこと百も承知であろう。なのにこのような特集を組むのは、まさに多種多様の課題がありすぎて、何を基準にどう投票していいのか困っている人が多いということなのであろう。

 だがそれは自分で考えるしかないことだ。正直、私も困っている。なので大した参考にはなるまいが、最近思うところがあるのでそれを申し上げると、私は選挙によって、自分の不安な人生が解決されると思うことをやめた。不安な人間はロクデモナイ行動をとるからである。甘言に乗り、怒りをたきつけられるからである。だから選挙に自分の幸せは託さない。ならば何を託すのかというと、他人様の幸せである。自分の手の届かぬ遠くの誰か、あるいは将来の誰かの幸せである。つまりは神の目で考え、仏の心で投票する。そういう者で私はありたい。(寄稿)

AERA 2019年7月22日号

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