ラニカイ・ピルボックスから海を眺める。ハワイ語でラニは天国、カイは海を意味する(撮影/写真部・加藤夏子)
ラニカイ・ピルボックスから海を眺める。ハワイ語でラニは天国、カイは海を意味する(撮影/写真部・加藤夏子)
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 ハワイ初上陸の記者が「“裏ハワイ”の楽しみ方」を探した。海・山・動物……何度も訪れたくなるハワイの魅力とは何かを探る。

【写真特集】知られざる「裏ハワイ」を発見する旅

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 この5月、2階建てのどでかい航空機が、東京─ホノルル間に就航するという。世界最大の旅客機、エアバスA380だ。520席もあるというから、ちょっと想像できないぐらいの大きさだ。そんなニュースもあってか、ハワイまわりがどうも騒がしい。年始にはあるコラムニストが、ハワイを訪れる中国人観光客の増加を取り上げて「ずっとハワイが日本人のものでありますように」などと書いて炎上した。

 一体どうしてみんなそんなにハワイが好きなのか。人ごとのように眺めていたら、毎年正月をハワイで過ごしている編集長から取材の命が下りた。今年一段と盛り上がりを見せるに違いないハワイについて、リピーターも納得の「裏ハワイの楽しみ方」を特集せよという。

 そうは言われても、正直、独り者にとってのハワイは鬼門だ。ハネムーン、家族連れ、芸能人。漂うリア充感、パリピ感。「お呼びでない」と言われている気がして敬遠し続けてきた。

 困った記者がたどり着いたのは、1冊の本だ。書名は『イザベラ・バードのハワイ紀行』(原書、1875年刊)。

 イザベラ・バードは19世紀後半に生きた英国人女性で、40歳を過ぎてから旅行を始め、オーストラリア、ロッキー山脈、中国などを回り後半生の大半を旅に費やした。その記録は著書として出版されており、東北などを旅した『日本奥地紀行』などが有名だ。病弱で保養が旅の目的だったという彼女だが、好奇心旺盛で、辺境にも分け入っていく冒険家としての一面、現地の人々の様子を事細かに、時に冷酷に記す観察眼も興味深い。

 バードがハワイを訪れたのは1873年。「恵まれた気候に魅せられ、滞在は予定を大幅に上回り、7カ月近くに及ぶものとなった」とあるから、よほどこの地に魅せられたのだろう。

 そうだ、バードをお手本にしよう。思い立ち、この本とともにハワイに向かうことにした。

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