それでも、価格次第では買い、かもしれない。「晴海フラッグ」の近く、晴海や勝どき、月島エリアの新築マンションの平均坪(3.3平方メートル)単価は300万円以上で、物件によっては400万円台もあり、都内でも高価格帯となりつつある。だが、晴海フラッグは事情が異なるようだ。業界のアナリストの見通しはこうだ。

「選手村として利用するために東京都が土地を安く販売している。売り出し価格は相場よりかなり低くなるのではないか」

 周辺相場より安い坪単価250万円ほどであれば、将来的な資産価値上昇という点では期待できるかもしれない。

 東京の湾岸エリアでは、ほかにもメガマンションの販売が多い。なかでも、国家戦略特区認定事業として各種の優遇措置を受けた「シティタワーズ東京ベイ」は、総戸数1500戸を超える規模で、200の専門店の商業施設、800室のホテルも併設される。

 東京の湾岸エリアは公共交通機関の駅周辺から開発が進み、最近ではどんどん奥まった場所になりつつある。その象徴が「晴海フラッグ」だが、それに比べると「シティタワーズ東京ベイ」は、交通アクセスに恵まれているのが大きな魅力だ。

 東京臨海高速鉄道りんかい線の国際展示場駅から徒歩4分、ゆりかもめの有明駅から徒歩3分。しかも、周辺では東京五輪に向けての施設の整備が進んでおり、商業施設や教育機関も揃いつつある。

 有明エリアは同じ湾岸でも豊洲や月島などに比べるとかなり新しい埋め立て地だけに、既存の商店街などはなく、無機質な街という印象を拭えない。それが、五輪効果もあって街の熟成度が高まってくれば、マンションの資産価値も高まってくるのではないだろうか。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

AERA 2019年4月22日号より抜粋

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