ただ、日本では男性たちがつくりあげてきた終身雇用制と年功序列制が、働く女性にはより強く不利に働いてきた。女性たちは、結婚や出産、介護などのライフイベントで、キャリアの中断を負わざるを得なかった。そのゆがみを直視し、いかにフェアにフォローアップできるか。平成後の社会では、ひとえに、その制度設計が問われることになる。

 しかし、それ以前に当の「男性社会」が、もはや鉄板ではなくなってしまった。バブル世代の男性編集者(55)は嘆く。

「俺って、そこそこ『勝ち組』だな、と思っていたけど、家のローンを払って、子ども2人を大学に行かせたら、老後の余裕はほとんどない。俺って貧しいんだな……って」

 さらに、50歳を超えた時点で、会社では執行役員になれるか否かという、最終サバイバルが始まる。もちろん、そこで振り落とされるのが大多数だ。

「もうこの先はないよ、と会社に宣告される。それがこんなにつらいとは」

 男女平等の土台ができたがゆえに、女性は幸せの基準を見失ってしまった。彼女たちにとって壁だった「男性社会」も、すでに自壊が始まっている。そのなかで、みんなが居場所を求めてさまよっている。

AERA 2019年4月22日号より抜粋

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