二人が取り組むのは、オーケストラも出演者の一部となる異色の戯曲だ。旧ソ連とおぼしき架空の独裁国家の精神科病院の一室で出会う二人の男。「自由」と「真実」を巡る物語とは──。
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──舞台「良い子はみんなご褒美がもらえる」で初共演となるお二人ですが、お互いの印象はいかがですか?
堤真一:実は、先日終わったばかりの映画で一緒だったんです。他のジャニーズの皆さんもかなり出演されていたのですが、やはりジャニーズって上下関係がしっかりしてるんだなぁという印象でした(笑)。
橋本良亮:はい、そこはしっかり(笑)。稽古はこれからなんですけど、堤さんに前にお会いしたときに「誰でも舞台は緊張する。俺でも緊張する。でも最後は俺がいるから安心しろ」って嬉しいお言葉をいただいて。難しい舞台だと思うけど、すごく勇気づけられました。
堤:いやまぁ、舞台は死なばもろとも。そうならないように、みんなでつくっていくものだから。
──今作は「俳優とオーケストラのための戯曲」として書かれたトム・ストッパードの異色作。橋本さん演じる、オーケストラを連れて歩いているという妄想にとらわれた男にしか見えないはずの楽団が、舞台上に実在して演奏もする斬新な設定ですが、台本を読んだときはいかがでした?
堤:僕、ストッパードの作品は「アルカディア」に続いて2度目で、前回に比べたら短いんですが、手ごわい戯曲ですよね。最初読んだときは、お~、ここでオーケストラが入るんだ、なるほどなるほど……え?どうなるの?どういうこと?この話、どこに向かって行くんじゃい!みたいな(笑)。
橋本:アハハ。
堤:自分の狭い想像力では、ほとんど分からなかった。実際に動いて、それこそオーケストラが入ったら全然感覚が変わると思うんですが……だからまだ、まったく想像できてないです。
橋本:僕も最初に読んだときはちんぷんかんぷんで、5回目くらいからようやく頭に入ってきて、でももっと読んだら、お客さんは僕の味方だなと思いました。オーケストラは僕が演じるイワノフの妄想かもしれないけれど、実際には会場のお客さんからは見えている。堤さんはオーケストラなんて見えない、いない、と演じないといけないから、僕のほうが演技がしやすいんです。