グッズの販売やイベントなどが話題になる一方で、 改元を思い出として残したいという人たちの消費行動も熱を帯びていた。
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平成最後の春、家事代行サービスのCaSy(カジー)では掃除代行の依頼数が昨年同時期比較で1.5倍だという。東京都の白井さやかさん(37)は「掃除とちょっとした模様替え」をCaSyに相談中だ。
「共働きで子どもが8、6、5、2歳の4人。この春、2番目の子が小学校に上がります。子ども部屋は一応あるんですが、ほとんど物置状態。元号も変わるし、この機会に生活を整えたいと思って自分にはっぱをかけました」
片づけ後の荷物を預ける倉庫利用も需要を伸ばしている。専用ボックス1箱を月額250円から預けられて、スマホアプリで管理できる「サマリーポケット」も、この春の入庫箱数は対前年同時期比で2倍以上という。
「平成最後に引っ越しを考えていたが、倉庫を利用した方が効率的だと考えなおした」(44歳女性)や、「90年代に小遣いのほとんどを費やした小室サウンドは青春の思い出。大量のCDを預けている」(35歳女性)という人も。
利用者の一人の中原萌さん(23)は、平成の終わりと人生の転機が重なったという。
「仕事はフリーの翻訳者。土日も深夜も関係ない働き方で、だったら場所にとらわれない生き方をしたい」と昨年12月、日本を飛び出し、今はデジタルノマドとしてヨーロッパを巡っている。荷物はスーツケースひとつ。写真や卒業アルバム、書類、どうしても捨てたくないものを数箱に厳選して預け、拠点を持たない生活を実現した。
「改元を迎えるのも何かの縁。今やらなきゃ一生できない気がしましたし」
元号が変わるだけでなく、働き方や人生観の変わり目にいる実感があったと中原さんは言う。
「昨年12月ごろから駆け込むように、『平成が終わるまでに同窓会をやりたい』というお問い合わせが増えてきました」と語るのは同窓会幹事代行業、笑屋の川手耀(よう)さんだ。世代的には30~50代と幅広いが、「平成元年に高校卒業」「改元がいいタイミングになった」などの理由が多いという。4月27日に中学時代の同窓会を計画している神谷千南さん(30)もその一人だ。
「私たちは平成元年生まれ。30歳で何かやりたいとは思っていたけれど、まさかこのタイミングで平成が終わるとは(笑)」。学年全体の大同窓会を企画している。
思い出づくりの最たるものが写真だろう。埼玉県の渋谷幸代さん(37)は夫(41)と娘(4)、息子(2)の4人家族。平成最後の日の4月30日に出張写真撮影サービスのfotowaを利用することにした。
「娘の出産後、毎年1冊ずつ、自分で撮影した写真をアルバムにしていたんですが、七五三の時に初めて出張撮影をお願いしたんです。親が撮るとどうしても自分たちが写らないですよね。今回も家族全員の姿を残そうと依頼しました」
撮影場所をどこにしようか。思い出のおもちゃも一緒に撮ろうか。計画を練るだけでも楽しくて、撮影そのものが家族の思い出になっているという。