留学生へのビザ交付率が急落している(AERA 2019年3月25日号より)
留学生へのビザ交付率が急落している(AERA 2019年3月25日号より)
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東京日語学院(さいたま市)の卒業式。卒業生の大半は大学、専門学校に進学する(撮影/写真部・小原雄輝)
東京日語学院(さいたま市)の卒業式。卒業生の大半は大学、専門学校に進学する(撮影/写真部・小原雄輝)

 日本に留学したい外国人へのビザ発給が昨年秋から厳しく制限された。人手不足で社会が混乱するおそれがある。

【東京日語学院の卒業式の様子はこちら】

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 昨年9月、神奈川県のコンビニオーナーの男性(62)は、咽頭がんの手術から退院した翌日、店頭に立っていた。会社経営者の妻から「何を考えているの」と怒られながら、週2日は夜10時から朝6時まで出勤する。

「昨年の秋ごろから、これまでアルバイトを担ってくれていたネパール人留学生がいなくなった。どこへ消えたのか」

 男性がコンビニを開店したのは3年前。週末の深夜帯は特にアルバイトが集まらない。そのころから日本人の応募はなかったが、近所の日本語学校に通うネパール人留学生は喜んで働いてくれた。時給が1300円で、ほかの時間に比べて高いからだ。辞めてもまた日本語学校からネパール人留学生の応募があった。ところが昨年秋、状況が急変した。

「これまでは放っておいても新しい外国人が入ってきたが、働く人がいないから店を続けられない。24時間営業どころじゃない」

 同様の「危機」が今、様々な業界に広がっている。東京都内の日本語学校幹部はこう話す。

「外食チェーンの採用担当者が血眼になってアルバイトを探している。4月に向けて前年の4分の1程度しか集まってない状態で、『学生1人当たり紹介料2万円を払う』とまで言っている。こんなことは初めてだ」

 いったい、何が起こっているのか。学校幹部は続ける。

「日本語学校は年4回の入学時期があり、最も入学が多いのが4月で、次が10月。昨年の10月入学から留学ビザの交付が厳しくなった。すでに留学ビザを取得している学生も最初の更新(1年3カ月)で厳しく労働時間を調べられ、昨夏から次々と帰国させられています」

 グラフは、日本語学校の業界団体「全国日本語学校連合会」(JaLSA)が取りまとめた東京入国管理局の在留資格認定申請についてのデータだ。「交付率」は、ビザ申請があったうち、どれだけが交付されたかを表している。

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